2021年12月01日

ワクチン未接種で不採用・解雇

職場でワクチン接種を強要されて困っていますという相談が増えるだろうなと思っていたら、予想通りです。
「職場での強要は違法じゃないですか」「採用面接で接種しているかどうか聞かれましたが、違法じゃないですか」など、質問も多く寄せられているので、今日は、厚労省のサイトを開きながら読んでいただけるとわかりやすいかと思います。ところどころにリンクしておきます。

Q&Aで書いていきます。赤い文字で対応策を書いています。

1職場でワクチン接種を強要されていますが、違法じゃないですか?

強要はできないと厚労省も明言しています(厚労省のサイトにリンクしています)。
では、強要したら何法違反なのかというと、労働法では明確に、「ワクチン接種強要が〇〇法〇条違反」というものはありません。
強要されて拒否して減給、配置転換、解雇などがあれば、違法にあたる場合もあります。
「場合もある」という曖昧な書き方をしたのは、ケースバイケースですし、最終的には裁判官が総合的に判断するものだからです。

強要されても、厚労省が「強要はできません」と言っているのだから、堂々と拒否すればよいのです。

その結果、不利益な取り扱いをされたら、闘いましょう。

2未接種を理由に解雇されました。

これは、不当解雇である可能性が高いです。
1でも書いたように、厚労省は強要できないと言っています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と労働契約法に定められています。
誰が見ても社会一般的にも、納得できる理由がないと解雇できませんよという意味です。
強要されたという段階では違法性を問うのは難しくても、解雇されたら違法である可能性が高いのです。
厚労省も、「接種を拒否したことのみを理由として解雇、雇止めを行うことは許されるものではありません」と明言しています(厚労省のサイトにリンクしています

3未接種を理由に不採用になりました。

これは解雇と違い、違法性を問うのは難しいです。
なぜなら、採用の権限は会社にあり、不採用の本当の理由は知り得ないからです。
解雇は、労働者から請求があれば解雇理由を会社は伝える義務がありますが、不採用の理由は伝える義務がありません。
別れの理由は伝えなければならないけど、付き合わない理由は答えなくてもよいのです。
厚労省も、「禁じる法律はありません」と書いています(厚労省のサイトにリンクしています)。

4未接種を理由に配置転換や自宅待機を命じられました。

人事権は会社にあるので、配置転換も会社が命じることはでき、労働者の同意は必要ないのですが、明らかに不当だと証明できる場合は、違法に当たる可能性もあります。
では、明らかに不当とはどのような場合か。
接種していないことで出勤してはならないとか、ここの部署で働いてはいけない理由が、誰が見ても納得でき、社会一般にも「そりゃそうだ、接種していないなら出勤停止、部署移動は当然だ」という状況でなければ、不当でしょう(厚労省のサイトにリンクしています)。

自宅待機や配置転換を命じられたら、その理由を会社に聞けばよいのです(書面で請求しましょう)。理由を説明するのは会社側にあります。その回答如何で、不当かどうか判断できるでしょう。

5会社から執拗に接種したかどうかを聞かれます。

しつこく聞くことを禁止する法律はありません。
しつこく聞くことのみをもって違法だとは言えませんが、回答を拒否したことで解雇、配置転換などの不当な扱いをすることで、違法となる場合があります。

しつこく聞かれたら、聞いてくる理由を教えてくださいと言いましょう。納得できる回答がなければ、「回答を拒否します」「答えたくありません」でよいです。

ここに書いた以外にも、疑問や質問があると思います。
解決方法は、会社の規模、内容、証拠の有無、ご本人の意向によっても異なりますので、ご相談いただければと思います。

相談は有料で受けていますが、TwitterのDMは無料で質問にお答えしています。
ご相談は予約制ですが、24時間年中無休です。
フォロワーさんじゃない場合は、DMに気づくのが遅くなるかも、ごめんねあせあせ(飛び散る汗)

ブログの内容を動画でもお話ししています


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2021年09月24日

労災申請、弁護士に頼むか社労士に頼むか

どっちでもよいと思います(^−^)

終了〜(^▽^;)

どっちでもいい⇒目的に合わせて選んでね という意味です。

弁護士、社労士、仕事に優劣があるわけではありません。
よく、この専門はこっちだ、あっちは違う!と領域争いをしている専門家がいますが、そういうところは依頼しない方がいいです。
別の専門家とも仲良くできる人の方がいいですよわーい(嬉しい顔)

だって、仕事をしていると、自分の専門ではない部分も出てくることがあります。
その場合、全部自分でやるより、連携したほうが依頼者にとってよいからです。

労災申請、弁護士か社労士かという話でしたねあせあせ(飛び散る汗)

大雑把に言うと、
弁護士⇒訴訟のプロ。白黒つける専門家
社労士⇒手続きのプロ。スムーズな手続きをする専門家

なので、

労災申請は、業務が原因の病気だという意思表示と、会社に調査が入ることが目的です。その後、損害賠償は考えていません。
⇒社労士がよいと思います

労災が認定された後に、会社に対して、慰謝料や損害賠償を請求したいです
⇒弁護士がよいと思います

損害賠償まで丸っと引き受けますという弁護士さんの方が、途中でバトンタッチするよりいいかなと思いますが、労災とは別料金で追加で費用がかかることもありますし、「手続きは社労士さんにお願いしてください、訴訟はこっちがやるので」という弁護士さんもいますので、弁護士にも社労士にも相談してみて、いくつかの事務所を比べてみて決めるのがよいと思います。

最終的には、この人にお願いしたいだと思います。

費用とか、解決までの期間とか、遠慮せずにいろいろ聞いたほうがよいですよ、お互いのためにもハートたち(複数ハート)

にんにく万能だれ、美味しいです
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posted by 須田美貴 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 真面目に労働問題

2021年09月23日

精神疾患で労災の手続きを社労士に頼むと認定されやすいのか

鬱、適応障害、自律神経失調症、不安障害などの精神疾患で労災申請を考えている方に読んでいただけたらなと思います。

手続き代行ができる専門家は、社会保険労務士なのですが、自分でやるより依頼したほうが認定されやすいのか?

社労士事務所のホームページには、
認定されやすくなります
と書かれているのもたまに見ます。
費用も数万円の事務所が多いので、それくらい払うのだから認定されやすくしてくれるんだろうなと思いますよね。

さて、実際に、認定されやすくなるのか?

社会保険労務士がハンコを押したり手続きをしたからといって、
認定されやすくなるというわけではありませんexclamation×2

え!じゃあ意味ないじゃん!!

うーん、完全に間違いではないけど、「認定されやすくなります」だけだと、説明不足かなと思います。

認定されやすくなるのではなく、認定のポイントがわかっている人が書類を作成したほうが、主張も伝わりやすいですよということなんです。

専門家は、認定されないものを認定する魔法使いではありませんモバQ

例えば、

ご自身で作成された書類
「人格否定をされ、暴言を吐かれ、眠れなくなり、とても辛かったので、労災だと思い、申請します」

専門家が作成した書類
「〇月〇日〇時頃、2階会議室にて〇〇部長と〇〇課長と私の3名での打ち合わせの際、大声で・・・・と言われた。その後も〜」

比べると、日時やメンバーやセリフなど、具体的です。

具体的に何を伝えるかというのは、厚生労働省の「精神障害の労災認定」というパンフレットに記載の表にあてはめて整理します(厚生労働省のサイトにリンクしています

専門家としての仕事は、この表に当てはまるできごとがないかと、ご本人のお話や証拠書類の中から見つけていくという作業です。

ですから、認定されやすくなるのではなく、認定のポイントを整理して記載するので、監督官に伝わりやすいという方が近いかなと思います。

もちろん、経験から、これはいけるとか難しいとか思うわけですが、認定するのは国なので、思わぬ結果になることもあります。

相談者の方からお話を伺う中で、ご本人が思ってもみなかった部分が実は大きなポイントだったりすることもあります。

専門家を選ぶ際は、
「できます、認定されやすくなります」と言われたら、
「具体的にどの部分がでしょうか?」とか聞いてみるとよいと思います。

逆に、
「難しいですね、ほぼ認定されないと思います」という方が、正直で信頼できるかなと私なら思います。

ご自身で手続きをされても、専門家に依頼されても、認定するのは国なので、私はどちらでもよいと思います。添付書類や別紙で、整理して詳細にできごとを書くので、思い出して辛いでしょうし、体調もよくないと思いますので、依頼されたほうが精神的な負担は減るでしょう。

でも、監督官からの聞き取りは必ずご本人にしますし、専門家の同席は不可なので、そこまでは依頼ができません。

どこまでやってもらえるのか、何にいくらかかるか、追加料金はないか、契約書はあるか、契約期間はあるか、審査請求・再審査請求は別料金か、などがクリアになってから依頼するとよいと思います。

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全国どこでも行きます車(セダン)

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posted by 須田美貴 at 16:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 真面目に労働問題

2020年10月13日

同一労働同一賃金のネットの声

さきほど2つの最高裁の判決が出ました。

大阪医科大でアルバイト職員だった女性が、正職員との待遇格差を是正するよう求めた訴訟の最高裁の判断は、「アルバイト職員の賞与は認めない」というもの。

東京メトロ子会社の元契約社員が待遇格差の是正を求めた訴訟の最高裁の判断は、「退職金を支払わなかったことについて不合理とは言えない」というもの。


すでにネットにはいろいろなコメントがあり、それを読んでの私の感想です。判決に対してどう思うかではなく、ネット民のコメントに対してどう思ったかです。

ヤフコメやSNSなので、これが国民の多数の意見とは思いませんが、
「非正規のくせに」「非正規しかなれないくせに」「正社員になる努力をしていないくせに」「楽な働き方をしているくせに要求だけする」「嫌なら正社員になればいいじゃないか」

う。。。

なぜフルタイム勤務が偉くて、短時間や有期雇用は「くせに」と言われるのか

そこには、

正社員は我慢している

があるんじゃないかと思います。
正社員以外も我慢していますけど、正社員から見ると、
いい年してアルバイトやパートだなんて、自由に生きていきたいだけの、我慢していない人
に見えているようです。

だから、
我慢している人は待遇が良くて当たり前
我慢していないのに要求するのは厚かましい

になるんですよ。

いやいや、アルバイトだって正社員並みの時間働いて、責任も正社員並みだし、正社員よりも激務のことだってあるんですよ
という声もありますし、実際にそういうアルバイトの人もいるんですけど。

同一労働同一賃金なんて国のスローガンは、こういった
働き方の違う相手は分かり合えない
という現場の実情がわかっていない中で始まったものだから、
いくら物理的に同じにしてももめるんですよ。
同じにしなくてももめますけど。

だいたい、正社員ってなんでこんなに苦行なんですか
労働って苦しみに耐えることになっていません?


蟹工船の時代と変わっていないじゃんもうやだ〜(悲しい顔)

日本人は特に、
苦しみに耐えることが美学とされる教育を受けてきているんです

小学校では、マラソン大会、九九の暗記、漢字練習・・・遠泳なんてことをする学校ももうやだ〜(悲しい顔)

苦しいですね〜。
苦しさの向こうにはバラ色が待っているぴかぴか(新しい)
だから苦しみに耐えろ!自分に勝つんだ!

そういう国なので、
労働は苦しみ、その苦しみから脱落した人やチャレンジしなかった人は非正規で負け組、負けたんだから待遇悪いのは当たり前
そういう感覚が日本中にあるんじゃないですかね。




相変わらずサカイ引越センターのバイトは続けています。
愛社精神でパンダグッズハートたち(複数ハート)
基本、社労士自営業、ときどき引越しバイトの私なんて、苦しみに耐えることから一抜けしたダメ人間で〜すわーい(嬉しい顔)
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Twitter相談ライブやっています。この日のテーマは「労働相談、どこにすればいい?」
posted by 須田美貴 at 15:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 真面目に労働問題

2020年05月14日

労災申請なんでそんなに後ろめたいの

「労災申請したら?」
と言うと、

「いや、そこまでは考えていないんで」
「会社と喧嘩したくないんで」
「たぶん認められないんで」

と言う方がほとんど。

そこまでは考えていない
⇒労災申請がとてつもなく遠いところにあるように思ってる?

ただの手続きですよ(^▽^)

会社と喧嘩したくない
⇒なんで労災イコール会社と喧嘩って思考になっちゃうかな?

ただの手続きですよ(^▽^)

たぶん認められない
⇒決めるのは会社でもあなたでもなく国ですし、自分のケガや病気が業務に起因していると思ったら申請しないとだめですよ



もう一度言うけど

自分のケガや病気が業務に起因していると思ったら申請しないとだめですよ


その説明をしますね。


医療保険のうち、職域保険といわれる会社員など雇われている人が加入する保険の代表的なものは、
・健康保険
・労災保険
この2つ。

健康保険⇒業務外のケガや病気
労災保険⇒業務上(通勤も含む)のケガや病気

です。だから、健康保険と労災保険の両方を使うということは矛盾しているのであり得ません。



さて、あなたの鬱病は業務が原因ですか?それともプライベートが原因ですか?


と聞くと、「職場のパワハラが原因です」と言います。

それなのに労災申請の話になると「そこまではしようと思わないんで」ってどうして?

というか、

今、治療で健康保険証使ってませんか?

業務に起因している病気なのに健康保険を使うと

健康保険、怒りますよ〜〜〜(-_-メ)

健康保険は業務外じゃないと使えませんよ〜〜〜演劇


かわいいよくある質問かわいい

1会社が「労災じゃないから手続しない」と言います。

⇒会社が労災だとか労災じゃないとか決めるものではないです。会社が協力してくれなければその経緯など書いて提出すれば手続きはできます。
会社が手続きを拒否しているときの書類は社労士に任せてね

2会社がパワハラを認めれば労災は認定されますよね

⇒会社がパワハラを認めても認定されるかどうかわかりません。なぜなら、
労災はパワハラを認定するものではなく
あなたの病気が業務に関係しているという認定です

だから、

パワハラの事実はありました、でも、あなたの病気がパワハラのせいかどうかはわかりません

はっきり言って医者でも原因はわからんのだよ・・・
予測はできるけどね


ということで認定されないケースは多々あります。

でも、あなたが

自分の病気は業務が関係していると思ったら、労災申請しないとだめよ!!


3労災認められたら保険料上がるんですよね

⇒労災が認定されただけでは保険料が上がるかどうかはわかりません。
一定規模以上の会社だとか、給付額とか、様々な条件に該当しないと上がりません。


じゃあ最後に、

4労災はどの専門家に依頼すればいい?

労災の手続き⇒社労士

労災認定された後に会社に安全配慮義務違反などで損害賠償の請求をする⇒弁護士


両方やりますよっていうのはあんまり私は信用していないですふらふら

だって、手続の専門家と請求の専門家は別なのに。

だから、
弁護士と社労士が組んでやっています

というのが一番良いと思います黒ハート

あ〜早く球場行きたい野球
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退職に関するトラブルのお話を、社会保険労務士の高橋真由美さんとトークした回でするんるん


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posted by 須田美貴 at 16:31| Comment(4) | TrackBack(0) | 真面目に労働問題